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エクソソーム粒子径・粒子濃度・ゼータ電位測定

エクソソーム(細胞外小胞、Extracellular Vesicles; EVs)は細胞が分泌する脂質二重膜で形成された膜小胞の総称のことを言います。生合成や放出経路に基づいて、エクソソーム、マイクロベシクル、アポトーシス小体に大別されます。近年、EVsに含まれるタンパク質や脂質・核酸などが他の細胞へと受け渡されることで、細胞間コミュニケーションを担うことが明らかになりました。EVsの授受は、さまざまな病態生理学的プロセスにおいて重要な役割を果たしており、現在でも新たなメカニズムの発見が相次いでいます。このような背景からEVsは、生体メカニズムの理解、診断、DDSなどへの応用が期待されています。そのEVsを適切に分離し精製することは、特性の理解や臨床応用へ発展させる上で非常に重要です。現在、様々な細胞外小胞精製方法がありますが、精製されたEVsの粒子径・粒子数の確認は実験のファーストステップとなります。
 弊社製ゼータ電位・粒子径・分子量測定装置ELSZneoは、粒子径・粒子濃度・ゼータ電位を測定することができます。粒子径の確認は動的光散乱(Dynamic Light Scattering : DLS)法、粒子濃度には静的光散乱法を用いて簡便に結果を得ることができます。また、EVs表面の電荷(ゼータ電位)の違いは粒子挙動にも大きく影響するため、近年非常に注目されている指標の一つです。ELSZneoは、粒子径・粒子濃度・ゼータ電位を簡便に測定することで、EVsの性質を詳細に解析することが可能です。
 ELSZneoを用いて、EVsの粒子径分布、粒子濃度、また、EVsの表面電位を評価するためにゼータ電位測定を行いました。サンプルはマウス横紋筋由来細胞株(C2C12)の筋芽細胞(myoblast)と筋繊維細胞(myofiber)から精製・濃縮したEVs注1です。

ELSZneoで測定した粒子径分布を図1に示します。それぞれのサンプルで単峰性分布を示し、デブリス(壊死した細胞片)が混在していないことが確認できます。実際、2つのサンプルについて、電子顕微鏡でも評価したところ、不純物がほとんど存在していないことを確認しました(写真1A, 1B)。平均粒子径と粒子濃度の結果を表1に示します。ELSZneoで求めた平均粒子径、粒子径分布は、図1の電子顕微鏡とよく一致していることがわかります。粒子濃度は、比較データとして粒子軌跡解析(Particle Tracking Analysis : PTA)法で測定した結果も示します。粒子濃度測定値の差はそれぞれ約4%、14%となり、異なる測定手法でも近い値が得られていることが示されました。ゼータ電位は表1に示す結果が得られ、EVs表面の電荷状態の物性を評価することができます。

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