【雑話】 キャピラリー電気泳動序論
6.ハイフネーテッド・テクニック:質量分析
ハイフネーテッドと申しますのは、二つの測定装置をつなぐという意味です。ところで、我々ハイフンという日本語化表記・発音に引きずられていますが、英語ではハイファネイテッドと云った方が正しいようですね。キャピラリー電気泳動において、オンラインで検出するには、普通には可視・紫外分光光度法を用います。このほかに、蛍光、示差屈折率、熱光学、CD、電気化学、電気伝導度などの物性に着目した検出が行われています。これらも、電気泳動装置と他の装置をつないでいるのですが、ハイフネイテッド・テクニックとは、一般には呼ばないようです。それは、電気泳動のキャピラリーの端から一旦出て、別の装置で改めて検出するという場合に使われる用語のようです。したがって、この範疇に入るもので、現に活用され始めているのは、キャピラリー電気泳動に質量分析装置を連結するもので、CE-MSと略称されています。
以前からLC-MSの名で呼ばれていた、HPLC装置に質量分析装置を連結する方式が存在します。キャピラリー電気泳動をMSに連結する方式は、この延長線上に考えられたものです。HPLCと比較した場合に面倒であるのは、電気泳動が文字通りに電気を用いていることです。電気泳動を一旦完結して、出てきた試料を質量分析装置の試料ガス化・イオン化のシステムにつなぐ必要があります。この問題がうまく処理されたなら、質量分析法で試料を分析することによって、同定を行うことができます。可視・紫外のスペクトルがとれはしますが、キャピラリー電気泳動においては、同定を標準物質のエレクトロフェログラムとの比較に依存している場合が、多いようです。したがって、質量分析装置との連結は、分析装置としてのキャピラリー電気泳動の価値の向上に大きく寄与すると期待されます。もっとも、連結というよりも、質量分析装置の試料供給装置として、キャピラリー電気泳動が付属するといった感じがします。
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