【雑話】 キャピラリー電気泳動序論
5.チップ電気泳動
キャピラリー電気泳動の市販装置は、長さ数十センチメータ、内径数十マイクロメータ前後の円筒型キャピラリーを用いることを念頭において設計されています。一方、最近になって、エレクトロニックスの分野で進歩した加工技術を用いて、基盤の上にキャピラリー電気泳動のシステムを作成する試みが、あちこちで行われています。広く見るならば、これはμTAS(micro-total analysis system)への流れの一環でしょう。現在のところ、これによって微量化・迅速化が達成されてはいますが、これでなければというブレークスルーは達成されていないのではないでしょうか。検出手段が、キャピラリー部分の微小化に追随できないようで、蛍光検出だけが幅を利かせていることが気掛かりであります。しかし、対象とする試料が限定されていて、しかも使用頻度が高い分野では、この種の特殊なキャピラリー電気泳動の利用が、定着して行くと予想されます。この分野の研究が進めば、微細流路における液体の挙動が詳細に把握され、シミュレーション解析も可能になってくるでしょう。その過程で集積される知識からのアウトプットには、大いに期待すべきものがあります。
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