高分子フィルムの構造解析に有用な小角光散乱法
5.おわりに
光を用いた小角散乱では、X線や中性子線に比べ、大きな構造(マイクロメートルオーダー)の評価が可能です。得られる情報は、散乱体の大きさ・形状にとどまらず、結晶構造や配向性、相関長、スピノーダル分解過程など多岐に渡ります。
光学顕微鏡を用いて、ただ「観ていた」だけのものを「数値化」できる技術が小角光散乱であり、フィルムの製品管理をより手軽に実現できるため、弊社としても本法の普及に貢献していきたいと考えています。
【参考文献】
1)高分子学会編 高分子の構造(2) 散乱実験と形態観察、新高分子実験学6, 初版, p.2-95 (共立出版, 1997)
2)斎藤拓, 日本ゴム協会誌, 84, No.3 , p.94-99 (2011)
3)T. Hashimoto, K. Yamaguchi, and H. Kawai, Polymer J., 9, p.405-414(1977)
4)橋本竹治, X線・光・中性子散乱の原理と応用, 初版, p.330-358 (講談社, 2017).
5)井上隆, 繊維学会誌, 40, No.2 , p.71-80 (1984)
6)M. Shibata, T. Koga, K. Nishida, Polymer 178, 121574 (2019)
(に掲載 2021/11)
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