【入門】 キャピラリー電気泳動
4.キャピラリー電気泳動における分離方式<分子ふるい>
今日、数ある電気泳動法のなかで最も多くの人々に使用されているのは、ポリアクリルアミドゲル電気泳動です。ゲル電気泳動においては、分子のサイズが大である程、ゲルの網目構造より受ける抵抗が大きいため、遅く電気泳動されます。これを、分子ふるい(molecular sieving)効果と呼んでいます。この結果、本来の自由溶液中の電気泳動と比較すると、試料各成分のサイズに関して著しく敏感な分離を行うことができます。
ポリアクリルアミドゲルを形成させる場所をキャピラリー内に替えると、この高い分離能をキャピラリー電気泳動に持ち込むことができます(図5)。
【 図 5 】
キャピラリーゲル電気泳動(capillary gel electroophoresis)が、それです。キャピラリー電気泳動の利点の一つは、媒体を自由に詰め替えることです。しかし、ゲルを形成してしまうと、詰め替えはできません。しかも、ゲルの性能は急速に劣化するので、繰り返し使用には不向きです。
ところで、高分子溶液は、“分子ふるい”としてゲルに類似した機能を果たすことができます。キャピラリー中では、対流が起こり難いので、高分子溶液がゲルの代役を立派に果たすことができます。条件の設定次第では、高分子溶液には代役以上の働きさえも、期待することができます。この方式はキャピラリー高分子溶液電気泳動(capillary polymer solution electrophoresis)と呼ぶべきでしょうか。
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