ラインスキャン膜厚計によるインライン膜厚計測
4.従来の検査システムとの違いとメリット
フィルムの製造ライン向け膜厚検査システムとして、当社では光ファイバーを用いた分光光度計が主に使用されています。第5図はこのシステムの一例ですが、この図のように測定用光源に接続されたファイバーは、検出器側のファイバーと1つのプローブでバンドルされており、測定光の照射と受光が同軸上の1点で行われます。光ファイバーは屈曲性があるため、図のようなトラバースユニットと組み合わせることで、フィルム上の任意の位置に移動させて測定できます。
第5図 従来の膜厚検査システムの例
分光干渉法以外の膜厚計測システムとしては、膜の厚みと特定波長の吸光度の相関性を利用したものがあります。これらは検量線法といわれる手法で、赤外線やX線、β線などの単一または複数波長を透過させて膜厚を測定しています。このシステムも、トラバースユニットに搭載されることが多くあります。
これら従来の膜厚検査システムとラインスキャン膜厚計の決定的な違いは、全面測定が出来るか否かです。第6図に測定結果のイメージを示しました。左側はラインスキャン膜厚計で測定した膜厚分布、右側はポイントタイプの膜厚検査システムでトラバースさせて測定した時の測定位置のイメージです。このように、従来の膜厚検査システムでは膜厚の面内分布や異常箇所を正確に捉えることができません。ラインスキャン膜厚計では、膜厚分布をリアルタイムに観測することができるため、特徴的なムラや異常箇所を逃すこと無く検出が可能です。
また、トラバースユニットのような可動部が無いこともメリットの1つと言えます。表示デバイスに使用される光学フィルムは、塵などが付着しないようにクリーンルームで製造されます。可動部が存在すると発塵対策は必須となります。また、長期運用による故障リスクやメンテナンスコストも考慮しなければなりませんが、ラインスキャン膜厚計は可動部が無いという点においても優位性があります。
第6図 ラインスキャン膜厚計と従来の検査システムの測定ポイント比較
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