積分半球を用いた光源の全光束測定
3.積分半球の構造と原理
図5 積分半球の構造 図6 半球と鏡面の虚像により構成された
積分球光学モデル
積分半球は,図5に示すように、内面に測定しようとする放射を完全拡散反射する硫酸バリウム等の拡散材料を塗布または加工した積分半球と、平面ミラーで構成された光束計であり、平面ミラー(表面鏡)の面上で、かつ積分半球の曲率中心の位置に、その全光束を測定しようとする光源を装着します。
このとき半球と表面鏡による半球の虚像により、図6に示すような光学的に積分球が構成されます。
図7は実際の積分半球(直径1m)の外観です。
図8はミラー中央に装着した光源の写真である。同図では、光源の下に光源の虚像が写っており、測定時には光源と光源の虚像が、積分空間に支持物なしで浮いているのと同じ状態となり、光源点灯治具は積分空間に存在せず、したがって、それによる誤差要因も排除できます。
また、LED光源のように点灯回路や冷却用のヒートシンクが発光部のすぐそばに設置する必要がある場合も、ミラーの外側にこれらの物を設置することで、積分空間の外側に排除でき、測定に影響を与えません。
また、ディスプレイ等の平面光源のように、その配光が片側の2π空間しかない光源でも、ミラーによる光源の虚像の配光との合成により4π空間の配光を持つため、積分球全体を使った測定となり、誤差が少くなります。
図7 直径1mの積分半球の外観 図8 積分半球のミラー側から見た光源
この積分半球の原理を図9で説明します。光源から光束φで積分球内壁面Sへ照明した光が、積分球内壁面Aを照明する場合、面Sから直接面Aを照明する場合と、面Sから虚像の面A’に向かい、ミラーで反射して面Aを照明する場合の二通りがあります。
図9 積分半球の平面モデル
面Sから直接、面Aを照明した場合の面Aの照度は次式で表されます。
・・・(3.1)
ここでγは積分半球の半径、ρは積分球内壁の拡散反射率です。
次に、面Sから虚像の面A’に向かい、ミラーで反射して面Aを照明した場合の照度は次式で表されます。
はミラーの反射率です。
・・・(3.2)
従って、面Sからの光に対する面Aの照度は次式で示されます。
・・・(3.3)
積分球内壁の繰り返し反射による面Aの照度は次式で示されます。
・・・(3.4)
照度は、の場合、同じ半径の積分球の倍の明るさであることがわかります。
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