第35回 散乱研究会
令和5年9月 吉日
各位
拝啓 初秋の候、皆様にはますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
さて、この度4年ぶりにオンサイトで「第35回 散乱研究会」を開催する運びとなりましたのでご案内申し上げます。
午前の部では、毎年多くの方々よりご好評いただいております光散乱基礎講座を開講し、これから光散乱の勉強をはじめられる方にも分かりやすく解説いたします。今年度は静的光散乱法です。
午後の部では、様々な分野のご講演者に光散乱法を活用した最新のご研究や応用例をご紹介していただきます。さらに今回も、講師の先生方や世話人に講演内容や各種散乱法についてご質問していただける「光散乱Q&A」の時間を設けております。また、実演可能な機器展示を併設した意見交換会を開催いたします。
本研究会は、散乱関連技術の研究者および利用者並びに提供者が一堂に会し、それぞれが有する情報・意見の交換や知識・経験の共有ができる機会を提供すると共に、これを機に、若手研究者の育成と散乱技術のさらなる発展・促進につながることを期待しております。
今回も有意義な研究会となりますよう是非とも皆様方の積極的なご参加をお待ち申し上げております。
敬具
散乱研究会世話人会
木村 康之(九州大学)
寺尾 憲(大阪大学)
則末 智久(京都工芸繊維大学)
川俣 純(山口大学)
●名称 | |
---|---|
●日時 | 2023年11月17日(金) 10:00~17:00(受付開始9:30~) |
●会場 |
|
●参加費 | 無料 |
●担当者 | 散乱研究会事務局 (泉谷・岡本) |
PROGRAM
第1部
光散乱基礎講座「静的光散乱法」
10:00 ~ 11:40 寺尾 憲 先生(大阪大学大学院理学研究科 教授)
静的光散乱法は、数nmからサブミクロンサイズの微粒子の質量・サイズ・粒子間相互作用を非破壊かつ同時に計測できる手法として広く用いられている。本基礎講座では、動的光散乱法を含めた光散乱法の特徴や基礎について解説したのち、おもに静的光散乱法を用いた高分子の分子形態解析の手法やコロイド分散系への応用について紹介する。 |
光散乱基礎講座Q&A
11:40~12:00 寺尾 憲 先生(大阪大学大学院理学研究科 教授)
12:00~13:20 休憩
13:20~13:30 大塚電子 散乱製品紹介
第2部
GPC-MALSを用いた分岐性の評価
13:30~14:20 外城 稔雄 先生(星光PMC株式会社 技術本部 解析グループ グループリーダー)
高分子は化学的組成の違い以外にも、分子量、分岐性などによって物性が大きく変化する。GPC-MALSを用いると分子量以外のも回転半径に関する情報が得られる。分子量と回転半径の関係性から高分子の分岐性の評価が可能である。当社の乾燥紙力剤のデータを用いて分岐性の評価方法と物性の関係を紹介する。 |
マイクロレオロジーの基礎と応用
14:20~15:10 井上 正志 先生(大阪大学大学院理学研究科 教授)
マイクロレオジーは,試料にプローブ粒子を加えて,そのブラウン運動の軌跡(平均2乗変位)から,試料の線形粘弾性を測定する手法である。粒子の位置の検出方法にはいくつかあるが,本講演では顕微ビデオと動的光散乱を用いた方法について説明する。さらに,誘電緩和を用いて配向緩和から粘弾性を調べる手法についても紹介する。この誘電プローブ法では,分子サイズのプローブも利用でき,ナノスケールのレオロジーを調べることができる。 |
15:10~15:30 休憩(コーヒーブレイク)
第3部
X線小角散乱を用いた水溶液中のナノ粒子の構造解析
15:30~16:20 櫻井 和朗 先生(北九州市立大学 環境技術研究所 教授)
放射光X線小角散乱を中心とした散乱法を用いて、水溶液中のナノ粒子の構造を解析した我々の研究例を紹介する。具体的には、プラトンの正多面体の頂点の数と同じ会合数を取るミセル、短いRNAとカチオン性脂質からなる核酸医薬デリバリー用の粒子、アクリル酸とスチレンのランダム共重合体が形成する集合体に関して述べる。これらの例を通して、X線小角散乱の長所とその測定上の注意点などを概説する。 |
光散乱Q&A
16:30~17:00 講師の先生方、世話人
意見交換会(光散乱機器の展示)
17:00~18:00