「入門」 偏光とリタデーション
3.偏光子とは
あらゆる方向へ振動する自然光から一方向の振動である直線偏光を取り出す光学素子を「偏光子」といいます。
偏光子にはブロック状の偏光プリズム(図2)と板状の偏光板(図3)があります。偏光プリズムは複屈折性結晶の特性や偏光方向による全反射角の違いを利用して偏光分離する光学素子です。バイキングが使ったサンストーン(方解石)も複屈折性結晶です。
図2.偏光子の例(偏光プリズム)
図3.偏光子の例(偏光板)
一方、一般的な偏光板は物質の吸収特性の方位角依存(二色性)を利用して偏光分離する光学素子です。通常、偏光板はPVA(Polyvinyl alcohol)フィルムを一方向に引っ張りながらヨウ素溶液に漬け込むことにより作成します。PVAフィルムは吸湿性が高いため、ヨウ素を吸収します。さらにフィルムを延伸させることによりヨウ素がフィルムの遅相軸に沿って配向されます。配向したヨウ素は一方向の光のみ透過しその他の方向の光を吸収します。このような性質を二色性といいます。 偏光板はこの二色性により偏光子として機能します。PVAフィルムは物理的に脆いため、通常、2枚のTAC(Tri acetyl cellulose)フィルム等の基板フィルムの間に挟んで使用します。
他に板状の偏光板でもワイヤグリッド偏光板のように金属ナノワイヤによる偏光分離性を利用したものや、ガラス偏光板のようにガラス内部に金属を配向させてその金属粒子の表面プラズモン吸収を利用したもの、ハイブリッド型などその他の方式の偏光子も存在します。
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