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分子量測定

5.SLSの解析方法 … 各種プロットの使い分けと、Zimmプロットを用いた分子量の解析例

静的光散乱法では、分子量の大小や形状に適した各種のプロットが用いられています。表5-1にプロットの種類とその適応例および特長を示します。

表5-1 各プロットの適応例と特長
表5-1 各プロットの適応例と特長

注)Berryプロットでは角度、濃度各々別々にプロットを行う

代表的なZimmプロットを用いて分子量の解析例を以下に紹介します。
Zimmプロットの基本式は次式になります。

Zimmプロットの基本式

ここで、
  R(θ):レーリー比(還元散乱強度)、:濃度、
  K:光学定数(=4π22(dn/dc)2/(NAλ04):直線偏光入射の場合)、
  NA:アボガドロ数、λ0:真空中での入射光波長、n:媒体の屈折率、
  dn/dc:屈折率の濃度増分、P(θ):内部干渉因子
Y軸にKc/R(θ)、縦軸に濃度あるいは角度(sin2(θ/2))をプロットし、c->0、θ->0外挿時の傾きから、回転半径、第二ビリアル係数、切片より重量平均分子量Mwが求まります。
それぞれの求め方を次に示します。

 

<重量平均分子量と回転半径の求め方>

 複数の濃度について得られているR(θ)の値を濃度ゼロ外挿し、このR(θ)c->0の角度依存性P(θ)を考えます。

重量平均分子量と回転半径の求め方

ここでP(θ)は、  と表されるので


 の近似を使い、 を代入しますと




​故に、   に対してプロットした傾き   から  (回転半径:  )が、切片から重量平均分子量  Mw が求まります。

図5-1.重量平均分子量と回転半径の求め方
図5-1.重量平均分子量と回転半径の求め方

 

<重量平均分子量と第2ビリアル係数の求め方>

各濃度のR(θ)を角度0外挿しますと、P(θ)=1となるので、

となります。

これより、   の濃度cに対するプロットの傾きから、1次近似の場合は第2ビリアル係数(A2)が、2次近似では、第2ビリアル係数、第3ビリアル係数(A3)が求まります。また、切片より重量平均分子量Mwが求まります。

図5-2.重量平均分子量と第2ビリアル係数の求め方
図5-2.重量平均分子量と第2ビリアル係数の求め方

 

それぞれの解析を一つの図にまとめたものがZimmプロットと呼ばれています。
下図に標準ポリスチレン(東ソー製F-40:溶媒ベンゼン)の測定例を示します。

図5-3.標準ポリスチレンの測定例

図5-3.標準ポリスチレンの測定例

 

 

次回予告:
第2ビリアル係数・慣性半径とは … 説明と測定例


 

 

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